公開日 : 2016/10/19

カテゴリー : 活用のヒント 

タグ : JIRA 

はじめに

マイクロソフトが 2016 年 07 月 12 日に公開した Excel に関連する「セキュリティ更新プログラム MS16-088 」に対応するため、Atlassian JIRA 7.2.x ではビルトイン Excel エクスポート機能が無効化されています。現時点では引き続きこの機能を有効化できますが、そのためには JIRA 管理者が JIRA の構成ファイルを修正する必要があります。また、ユーザーが使用しているクライアント端末にこのセキュリティ更新プログラムが適用済みである場合、JIRA からエクスポートした Excel ファイルを正しく開くためにはさらなる操作が必要です。これはユーザー エクスペリエンス低下を意味します。さらに悪いことには、アトラシアンはこのビルトイン Excel エクスポート機能の廃止を予告しています。この機能を多用している組織の JIRA ユーザーは、近いうちにこの状況に対処する必要があります。

背景

マイクロソフトがリリースした「セキュリティ更新プログラム MS16-088 」は、Excel を含むすべての Microsoft Office 製品に関係しています。「マイクロソフト セキュリティ情報 MS16-088 」は、この脆弱性について以下のとおり述べてます。

最も深刻な脆弱性では、特別に細工された Microsoft Office ファイルをユーザーが開いた場合にリモートでコードが実行される可能性があります。これらの脆弱性の悪用に成功した攻撃者が、現在のユーザーのコンテキストで任意のコードを実行する可能性があります。

これらの脆弱性に対応するため、マイクロソフトは Office 製品に変更を適用し、信頼されていないサイトからダウンロード/エクスポートされた Office ファイルをユーザーが容易に開けないようにしました。つまり、お使いの JIRA インスタンスが信頼済みサイトとして登録されているか、もしくは HTTPS 接続を使用していない限り、ビルトイン Excel エクスポート機能を利用してエクスポートされた Excel ファイルをユーザーが開くと空白が表示されます。

この問題に対応するため、アトラシアンは JIRA ナレッジベース記事「今後、JIRA 課題の Excel エクスポートが正常に開けない 」を公開しました。この記事では、JIRA (Cloud) や JIRA (Server) 7.1.x のユーザーに対して、以下のいずれかの回避策をとることを推奨しています。

  • お使いの JIRA インスタンスの URL を信頼済みサイトとして Windows インターネット オプションに追加する。
  • Excel の保護ビューの設定を変更する。
  • エクスポートしたファイルのプロパティを Windows エクスプローラー上で変更する。

JIRA 7.2.x ユーザーの場合、ビルトイン Excel エクスポート機能自体が無効化されているため、これら回避策を適用する前に JIRA ホーム ディレクトリ内の jira-config.properties ファイルを修正してこのオプションを有効化する必要があります。

アトラシアンが提案する回避策は、今回の問題に関する一時的なソリューションに過ぎません。また、JIRA のユーザー エクスペリエンスに悪影響を及ぼすことも想像に難くありません。さらには、ナレッジベース記事の中でアトラシアンはビルトイン Excel エクスポート機能を廃止する予定であること言及しています。つまり、Excel エクスポートに関して、アトラシアンに現状以上のソリューションを期待できません。コンプライアンスに準拠するために JIRA のビルトイン Excel エクスポート機能を活用している組織にとって、これは深刻な問題です。

ソリューション

ソリューション #1 : CSV エクスポート オプションを使用する

アトラシアンは、JIRA ユーザーに対して、ビルトイン Excel エクスポートの機能の代わりにビルトイン CSV エクスポート機能を使用することを推奨しています。アトラシアンはこの方法はより堅牢かつ柔軟であると主張しています。JIRA 課題を CSV ファイルにエクスポートした後、それを Excel で開き、最後に Excel 形式で保存することになります。現在、JIRA 課題フィルターを実行して JIRA 課題を Excel 形式でエクスポートし、そのファイルをファイル サーバーに自動的に保存している場合などは、CSV ファイルを Excel ファイルに自動変換する方法を用意しなければなりません。

筆者がビルトイン CSV エクスポート機能を試した際、別の問題が発生しました。検索結果を CSV ファイルにエクスポートし、そのファイルを Excel 2010 および 2016 で開いたのですが、JIRA 課題に含まれている日本語文字列が文字化けしていました。CSV ファイルをテキスト エディターで直接開いたところ、日本語文字列は正常にエクスポートされていました。したがって、Excel 2010/2016 が CSV ファイルを正しく処理できなかったことになります。最終的には CSV ファイルを Libre Calc で開き、それを Excel 形式で保存することで解決しました。この問題は、筆者が使用するラップトップのオペレーティング システムが英語版の Windows 7 に起因しているかも知れません。マルチバイト文字列を含む外国語を使用している場合、同じ問題に直面する可能性があります。

ソリューション #2 : サードパーティ アドオンを使用する

Atlassian JIRA を選択する理由はいくつかありますが、アトラシアン マーケット プレイス と呼ばれるアドオン ライブラリはそのひとつです。JIRA の機能を拡張するために数多くのサードパーティ アドオンが公開されています。今回の場合、ハンガリーの ミドリ グローバル コンサルティング が提供する Better Excel Plugin for JIRA Excel Automation Plugin for JIRA が役に立ちます。

その名のとおり、Better Excel Plugin for JIRA は Excel エクスポート機能を実装するアドオンです。その機能は JIRA ビルトイン Excel エクスポート機能よりもパワフルかつ柔軟です (機能比較表 )。Excel Automation Plugin for JIRA は Better Excel Plugin for JIRA の無料の拡張機能です。このアドオンにより、Excel エクスポート タスクを自動化できます。さらに重要なのは、これらのアドオンは JIRA のビルトイン Excel エクスポート機能に依存していない点です。つまり、アトラシアンが自身の Excel エクスポート機能を廃止した後でも、引き続き JIRA 課題を直接 Excel ファイル形式 (XLSX/XLS) でエクスポートできます。CSV ファイルを Excel ファイルに変換する必要はありません。マルチバイト文字の問題に関しても、これらアドオンを利用して Excel ファイルにエクスポートした場合は問題がありませんでした。

ビルトイン Excel エクスポート機能とは異なり、これらアドオンではカスタム テンプレートを利用できます。カスタム テンプレートは Excel ファイル形式であるため、成果物の見栄えを簡単に変更できます。テンプレート内で Excel の関数や数式を使用することで、エクスポートした JIRA 課題データの統計を自動的に取得できますし、データをグラフやピボット テーブルに自動変換することもできます。つまり、組織の要件に合わせたレポートを作成するために、エクスポート後に編集する必要はなくなります。ビルトイン Excel エクスポート機能に比べ、これは大きな利点です。

まとめ

アトラシアンは JIRA のビルトイン Excel エクスポート機能の将来的な廃止をアナウンスしました。これは先日公開された、マイクロソフトのセキュリティ アップデートに対応するためです。今なお、多くの組織ではこの機能を活用して JIRA 課題を管理しています。アトラシアンが提供する代替のビルトイン CSV エクスポート機能は、直接の解決策ではありません。結果を Excel ファイルに残すために変換処理が必要となります。また、JIRA 課題に日本語などのマルチバイト文字が含まれている場合、環境によっては文字化けが発生することもあります。その一方、Midori Better Excel Plugin for JIRA と Excel Automation Plugin for JIRA は直接 Excel 形式にエクスポートできます。したがって、これらアドオンは JIRA のビルトイン Excel エクスポートの代替となりうるでしょう。

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